燃料危機でタイ各地の寺院が火葬用ディーゼルの確保に苦しむなか、元プータイ党下院議員候補のピヤポン・ヘマ氏がユニークな解決策を打ち出した。葬儀に花輪を贈る代わりに、ディーゼル40リットルを寺院に届ける「油の花輪」プロジェクトだ。
タイの葬儀では参列者が花輪を贈るのが慣例だが、現在の燃料危機では花輪よりも火葬用の油のほうがはるかに切実だ。1回の火葬には約40リットルのディーゼルが必要とされ、現在の価格で約1,900バーツ(約9,500円)。ピヤポン氏はサムットプラーカーン県を皮切りに、自ら燃料を購入して寺院に届けている。
この問題は深刻さを増している。以前報じたように各地の寺院で火葬用燃料の備蓄が底を突き、先日は火葬師が棺ごと遺体をガソリンスタンドに運び込み、死亡証明書を見せて「買い占めではない」と証明する事態にまで発展した。複数の県では住職が「香典は現金ではなく燃料でお願いしたい」と呼びかけている。
ピヤポン氏は同時に、スパジー・スタラムパン副首相兼商務相に対し、全県で「格安商品フェア」を開催するよう要請した。燃料高の影響で生活必需品のメーカーが4月から相次いで値上げを申請しており、商務省は事実上これを認めざるを得ない状況だという。首都バンコクの省庁内だけでなく、全国の地方で開催しなければ国民の手に届かないと訴えている。
日本でいえば、香典返しの代わりにガソリンカードを配るようなものだろうか。葬儀の習慣にまで燃料危機が波及するタイの現状は、エネルギー問題がいかに生活の隅々にまで浸透しているかを物語っている。

