エネルギー政策計画局(EPPO)が2026年3月30日付の燃料価格を発表した。首相が価格上限を撤廃して以降、市場メカニズムに基づく価格設定が続いている。PTTの同日時点の販売価格は、ガソホール95が41.05バーツ/L、ガソホールE20が36.05バーツ/L、ガソホールE85が32.79バーツ/L、ディーゼルB7が38.94バーツ/Lだ。
バンチャック、PT、カルテックス、シェルの各社もほぼ同水準の価格を提示している。「ディーゼル60バーツに値上げ」というフェイクニュースがSNSで拡散されたが、エネルギー省は否定しており、3月30日時点ではディーゼルは38.94バーツで推移している。
燃料危機前との比較
タイの燃料危機は2026年3月中旬に本格化した。危機前のガソホール95は約35バーツ台で推移していたが、石油基金が底をつき一斉値上げが実施されてから6バーツ程度の上昇となっている。ディーゼルは政府の補助金管理下にあったため値動きが異なるが、こちらも30バーツ台後半まで上がった。
物流業者の間では、ディーゼル1リットルあたりの上昇分が運送コストに直結する。大型トラックで1日200〜300リットルを消費する場合、1リットル5バーツの上昇で1日1,000〜1,500バーツのコスト増加となる。
価格形成の仕組み
タイの燃料価格は、原油輸入コスト、精製コスト、各種税・基金への拠出、石油会社のマージンで構成される。石油基金は価格が急騰した際に差額を補填する仕組みで、価格が下落した際に積み立てる。危機前は正常に機能していたが、中東情勢による原油急騰で積立金が急速に枯渇した。
EPPOが毎日更新する燃料価格は、タイ語公式サイトで確認できるほか、各石油会社のアプリでも表示される。給油前に確認する習慣をつけると、わずかでもコスト節約につながる。
ASEAN主要国との比較
同時期のASEAN各国の燃料価格を比較すると、タイのガソリン価格は中位に位置する。マレーシアは政府補助金で2バーツ台前半と格安だが、外国人への適用制限がある。シンガポールは市場価格のため80〜90バーツ台と高い。インドネシアは補助金と市場価格の二重構造を採用している。ベトナムは2026年3月に環境税をゼロに引き下げ、ガソリン価格を抑制した。
タイ政府は「ASEAN内では安い方」と説明するが、生活水準や平均賃金に対する割合で見ると、住民の負担感は相当なものがある。特に農業・漁業従事者や運送業者にとっては、燃料費の上昇は死活問題だ。