ミシュラン一つ星レストラン「Goh(โก)」のシェフ、パーコーン・コーシヤポン氏は、中東情勢による燃料価格の高騰を受けてレストランの事前予約が70%以上減少したと明かした。食材の物流コストも5から10%上昇しており、高級飲食業界が燃料危機の深刻な影響を受けている実態が浮き彫りになった。
パーコーン氏によると、消費者の行動が大きく変化した。従来は1か月前から予約が入っていたが、現在は当日の朝に電話して夕方に来店するパターンに変わってきた。先の見通しが立たないため支出に慎重になっているとみられる。経済的な不確実性が高まる中で、1人数千バーツになるミシュラン星付きレストランへの外食は優先度が下がりやすい選択肢だ。
「Goh」は長年バンコクの高級タイ料理シーンを支えてきた名店で、バンコクのミシュランガイドに掲載されている。タイ料理を高級コース仕立てで提供するスタイルで、国内外の美食家に知られている。食材はタイ各地から調達しており、物流コストの上昇は直接的に仕入れ価格に影響する。
高級レストランは飲食業の中でも特殊な市場だ。一般の大衆食堂と異なり、食材の品質と種類に妥協できず、仕入れコスト増をメニュー価格に転嫁することにも限界がある。富裕層を顧客とする業態でも、燃料危機に起因する消費者マインドの冷え込みは予約キャンセルや来店控えという形で収益を直撃する。
70%という予約減少幅は極めて大きく、「レストランの存続を考える」水準だとパーコーン氏は語った。政府の経済対策が実体経済に届くまでの時間差が、こうした独立系の高級飲食店にとって最も厳しい局面となっている。