アヌティン首相は3月29日、政府庁舎での記者会見で燃料管理の失敗を公に謝罪した。中東情勢による原油高騰が「当初の想定よりはるかに長引いた」ことを認め、政策の転換を発表した。
最大の変更は燃料の価格上限(キャップ)の撤廃だ。政府は水曜夜に石油燃料基金を通じて価格統制の終了を発表。木曜午前5時からリットルあたり6バーツの値上げが実施され、全国のスタンドで深夜の駆け込み給油が殺到した。
首相は撤廃の理由について「価格を抑えたことで、安い燃料が周辺国に密輸される原因になった。結果として国内の供給不足を悪化させた」と説明した。補助金の維持コストも膨大になり、これ以上の継続は財政的に困難だったという。
政府は当初、中東の原油高騰は短期間で収まるとみて価格統制を導入した。しかしイラン・イスラエル紛争の長期化とホルムズ海峡の事実上の封鎖で見通しは外れた。「最初は一時的な措置のつもりだった。危機がここまで長引くとは想定していなかった」と首相は述べた。
今後は外交調整、エネルギー安全保障、物価管理、国民生活の4分野に注力する方針だ。商務省はすでに屋台や食堂の値上げ抑制策を発表しており、価格上限撤廃による物価への波及を抑える構えだ。
商工会議所は今年のソンクラーンについて「盛り上がらない」との見方を示しており、価格上限撤廃でさらに消費マインドが冷え込む可能性がある。在タイ日本人を含む全ての消費者にとって、燃料代だけでなく食品・物流コストの上昇に直結する政策変更だ。

