タイの飲食業界団体の代表、ソラテープ・ロートパジャナラット氏が3月28日、政府に対して6つの緊急措置の実施を求めた。「国会初日にすぐ動いてほしい。対策が遅れれば飲食店の半数以上が閉店に追い込まれる」と強い危機感を示した。
燃料価格の高騰は飲食業に二重の打撃を与えている。食材の輸送コスト上昇で仕入れ値が上がる一方で、消費者の財布も締まり客足が減少している。具体的には、卵がトレイあたり6バーツ値上がり、肥料が100バーツ値上げされるなど、農産物のコスト増が連鎖的に食材価格を押し上げている。飲食店は仕入れコスト上昇と客の減少という板挟みに陥っており、値上げすれば客が離れ、据え置けば赤字になるという苦しい状況に追い込まれている。
要求された6つの緊急措置の内容は、電気料金の引き下げ、調理用ガス(LPG)の価格据え置き、食材の物価統制強化、飲食業向けの低利融資制度の拡充、消費を促すキャッシュバック制度の導入、そして食材への付加価値税(VAT)の一時的な引き下げだ。
タイの飲食業は中小零細の個人経営店が大半を占め、資金余力が乏しい。固定費(家賃・人件費・光熱費)が続く中でコストが急増すれば、借入金で運転資金を賄いながら廃業を模索する事業者が増える。タイ全土では街中の屋台・食堂・ローカルレストランが食文化の根幹をなしており、これらが大量に閉店すれば食の多様性と地域経済に深刻な影響が及ぶ。
飲食業の苦境はタイ経済全体の縮図でもある。物価上昇が消費を抑え、消費の落ち込みが店の収入を減らし、収入が減れば雇用が失われるという負のスパイラルが進行している。政府がこの要求にどこまで応えるかが焦点となっていた。