「2025年3月28日の午後1時20分、あなたは何をしていましたか?」——バンコクに住む人なら、誰もがこの瞬間を覚えている。ミャンマーのサガイン断層が動いた大地震から、今日でちょうど1年が経った。
あの日、ミャンマー中部を震源とする強い地震がタイにまで揺れを伝えた。バンコクでは高層ビルが大きく揺れ、オフィスワーカーがデスクの下に潜り込み、エレベーターが激しく振動した。路上では人々が転倒し、建物から避難する人波が通りを埋めた。
バンコクの軟弱な地盤は遠方の地震の揺れを増幅させる特性があり、震源から数百キロ離れていたにもかかわらず、高層ビル群は長時間にわたって揺れ続けた。一部の建物では構造的な損傷が報告され、ひび割れたコンクリートや傾いた壁が住民を恐怖に陥れた。
この1年間で、タイ政府は建築基準の見直しや緊急警報システムの整備を進めてきた。Cell Broadcastによる地震速報の導入も検討されているが、完全な実装には至っていない。バンコクの多くの古いビルやコンドミニアムは、現行の耐震基準を満たしていないとの指摘も根強い。
在タイの日本人にとって、地震への備えは日本で培った経験が活きる場面だ。しかしタイの建物の耐震性は日本とは大きく異なる。高層階に住んでいる場合は避難経路の確認、家具の転倒防止、非常用持ち出し袋の準備など、日本式の地震対策をタイの住環境にも適用しておきたい。
あの午後1時20分から1年。バンコクは「地震は起きない街」という神話を失った。次の揺れにどこまで備えられているかが問われている。
