ガソリン・ディーゼル価格の高騰を受けて、LPG(液化石油ガス)燃料への車両改造需要が急増している。LPG改造の月あたり申し込み件数は前月比60%増を記録し、LPGの配給・改造事業を手がけるATLAS社の株価は1日で7%上昇した。
背景にあるのは燃料コストの格差だ。2026年4月時点でガソホール95が1リットルあたり約41バーツ、ディーゼルが38〜39バーツ台に達しているのに対し、LPGは自動車用で1リットルあたり13〜17バーツ前後と大幅に安い。改造コストは車種にもよるが1万5,000〜3万バーツ程度で、月走行距離が多い法人車・タクシー・デリバリー車なら半年から1年程度で費用を回収できる計算だ。
ATLAS社はLPGの供給インフラと車両改造サービスの両方を展開しており、燃料危機がそのままビジネス拡大の追い風となっている。PTGグループのエコシステムとの連携も進んでおり、株式市場では「燃料危機の恩恵銘柄」として機関投資家からの注目度が上がっている。
ただしLPG車への改造にはいくつかの注意点がある。まずタイでは公認の改造業者での施工と当局への登録が必要で、未登録のLPG改造車は車検を通らない。次に、LPGタンクが荷台やトランクスペースを占有するため、積載量が減る。また、LPGスタンドは全国に約5,500か所あり、ガソリンスタンドより少ない。農村部や遠距離移動が多い用途では補給に困るケースもある。
タイ政府は2023年以降、LPGの民生用価格を一定水準に抑える政策を維持しているが、今後の補助継続は財政状況次第だ。LPGへの転換が大量に進めば、政府の補助費用が増加する可能性もある。