タイ外務省のシーハサック・プアンケットケオ外務大臣は2026年3月24日、バンコクで開催された領事担当者セミナーで、現行60日間のビザ免除を30日間に半減する方針を発表した。主な目的は、観光以外の目的(長期就労・不法滞在)でビザ免除を悪用する外国人への対策だ。
政策変更の背景
タイは2024〜2025年にかけてビザ免除の拡大と長期化を進め、多くの国籍向けに60日間のビザなし入国が可能になっていた。しかし、この制度を利用して観光ではなくタイで非公式に働く外国人が急増しているという報告が当局に相次いでいた。
外国人の長期滞在型「ノービザ就労」問題は、特にデジタルノマドや個人事業主の間で問題となっている。また一部の国籍の人物が犯罪組織の一員として長期滞在するケースも報告されており、安全保障上の懸念も示された。
30日間への短縮が意味すること
60日から30日への半減は、観光旅行者への実質的な影響も大きい。タイを拠点に近隣国を巡る旅行者や、リピーターのロングステイ志向の旅行者は30日では不足することがある。特に定年退職後のシニア旅行者や、「スロートラベル」を楽しむ層には短縮が制約になる。
日本人はタイとの間で長期相互ビザ免除協定を結んでおり、通常30日(最大60日延長可)の枠組みがあるが、今後の変更内容の詳細は正式発表を待つ必要がある。
代替ビザの選択肢
タイは長期滞在希望者向けに複数のビザを用意している。リタイアメントビザ(Non-O)は50歳以上で銀行残高80万バーツ証明などが条件。デジタルノマドビザ(LTR VISA)はタイ政府が2023年に導入した高度人材・富裕層向けの長期ビザ制度(年収8万ドル以上などの条件)。タイランドエリートカードは5〜20年の長期ビザを購入できる制度(50万〜200万バーツ程度)だ。
タイの観光業への影響
タイ観光スポーツ省はビザ緩和が外国人訪問者増加に貢献してきたとの立場から、ビザ短縮には慎重な姿勢を示している。外務省と観光省の間の政策調整が今後の焦点となる。