フィリピンのマルコスJr.大統領は3月24日、1年間のエネルギー緊急事態を宣言した。中東情勢の悪化による原油価格の高騰を受け、国のエネルギー安全保障を確保するための措置だ。
宣言に伴い、燃料・食料・医薬品・農産物などの必需品の流通と配分を監督するタスクフォースが設置された。政府には燃料の直接購入権限と、緊急時の契約前払い権限が付与される。フィリピン財務省と中央銀行は、エネルギー価格の変動が為替レートや海外送金に与える影響を共同で監視する態勢に入った。
フィリピンの現在の石油備蓄は消費量ベースで約45日分にとどまる。政府は国際市場から100万バレルの追加購入を進めているが、中東情勢の先行き不透明さから、次の調達がどの程度確保できるかは不明だ。
こうした政府の対応に対し、労働団体や運輸労働者からは不満の声が上がっている。燃料価格の上昇を政府の失策と批判し、木曜日から2日間のストライキを計画している。市民生活への影響がさらに広がる可能性がある。
東南アジアではタイも同様の燃料不足に直面しており、ガソリンスタンドでの給油制限や配給制が各地で導入されている。フィリピンの緊急事態宣言は、中東の紛争が東南アジア全体のエネルギー供給に波及していることを改めて浮き彫りにした。産油国からの供給が細る中、ASEAN各国がそれぞれの備蓄と調達力を試される局面が続く。
出典:フィリピン大統領府