タイの屋台や小規模飲食店で「隠れコスト」と呼ばれる付帯費用が急騰している。料理の食材費だけでなく、卵1パック、食用油、プラスチック製テイクアウト容器、ビニール袋まで一斉に値上がりし、屋台の経営を直撃している。
屋台の店主たちは「毎日のように何かが値上がりしている」と嘆く。具体的には、卵が1トレイ(30個)あたり6バーツ値上がりした。食用油も1リットルあたり数バーツ上昇した。プラスチック製の使い捨て容器はビニール袋や弁当箱を含めて全般的に値上がりしており、これは原材料の石油価格が高騰したことの直接的な影響だ。プラスチックは石油由来の素材であり、燃料価格が上がると製造コストが連動して上昇する。
タイの屋台料理(อาหารตามสั่ง)は1皿40から60バーツ程度という低価格が売りの生活文化だ。客は値段に敏感であり、少し値上げするだけで客足が遠のく。一方で仕入れコストが上がれば従来の価格を維持すれば赤字になる。「上げるに上げられない」というジレンマが屋台経営者を苦しめている。
タイ政府は大手の食材については価格統制の監視を強化しているが、小売段階での「じわじわとした値上がり」を完全に抑えることは難しい。燃料高が引き起こすコスト増は直接的な食材費だけでなく、輸送・包装・調理燃料(LPG)など広範な「見えないコスト」を通じて飲食業全体に波及している。
日本でも2022年以降の物価上昇で食材費が跳ね上がり、「安くて旨い」を看板にしていた大衆食堂が値上げを余儀なくされた。タイの屋台文化もそれと同様の構造的な圧力に直面している。