タイ警察庁長官は2026年3月23日、全国の警察部隊に対して燃料備蓄の不正横流しと国外密輸の取り締まりを厳命した。同時に燃料輸送トラックの24時間稼働制限を4月30日まで解除し、夜間の輸送が可能になった。
通常、タイではトラックの深夜(22時〜6時)の特定道路通行が市街地の渋滞・騒音対策として制限されている。今回の緊急解除はその制限を一時的に撤廃し、燃料タンクローリーが昼夜問わず補給ルートを走れるようにするものだ。
警察長官が燃料問題を「犯罪・治安問題」として扱った背景には、「燃料の買い占め・横流しが市場の通常機能を破壊している」という認識がある。石油流通の複数段階(製油所→卸→スタンド)でのインサイダー的な操作・不正が指摘されており、全国の県警・関連機関に取引の抜き打ち検査と不審車両の取り締まり強化を指示した。
タイでは燃料危機が深刻化した2026年3月以降、農村スタンドへのタンクローリーが「時間帯制限で深夜に来ない」ため補充が遅れているという声が多かった。ドライバーの休憩確保や深夜路上での事故リスクはあるが、国家エネルギー供給の緊急確保が優先された形だ。
日本では東日本大震災の際に緊急車両指定制度と緊急輸送路整備で物資輸送を確保したが、タイでは規制の柔軟解除と警察による取り締まり強化という手法を採った。法律を素早く適用して民間の燃料輸送に協力する姿勢は危機対応として評価される一方、常態化する危険性も指摘される。

