ブリーラム県は2026年、燃料価格高騰の直撃を受けて観光客数が例年比で約90%減少する事態に追い込まれた。タイ有数のビーチリゾートから離れた内陸県であるブリーラムは、車移動を前提とする観光客が多く、ガソリン・ディーゼルの高騰は来訪者数に直接影響した。
ブリーラムは東北部(イサーン)に位置し、2010年代にF1グランプリが行われたチャーン・インターナショナル・サーキットや、タイの古代遺跡ファノムルン神殿などで知名度を高めた観光地だ。バンコクから約430キロで、車や夜行バスで6〜7時間かかる。
宿泊施設・飲食・レンタカー・観光スポット運営者は「平日は誰も来ない。週末でもゲストは3〜4組程度」と嘆く。周辺農業でも使うトラックやピックアップの燃料コストが増大し、農村部を訪れる市場調査や農産物買い付け業者も足が遠のいた。
タイの観光業は集中構造を持ち、バンコク・プーケット・チェンマイ・パタヤなどの主要地に観光収入が偏る。ブリーラムのような地方観光地は自家用車での週末旅行客が主な収益源だが、燃料高騰によってこの層が外出を控えた。
タイ観光スポーツ省は2026年の「地方観光振興」予算を確保しており、ブリーラムなどを含む二次観光地への送客キャンペーンを実施した。しかし燃料補助がない状況では割引券や広報だけでは集客に限界がある。地方観光が持続するためには燃料価格の安定化と公共交通の整備が求められる。
タイの地方自治体(อบจ.)は観光振興に独自予算を使えるが、中央政府からの補助金に依存している部分が大きい。燃料危機という外的ショックへの耐性が低い地方観光の構造的弱点が改めて露呈した形だ。
