チェンマイ市内のガソリンスタンドで2026年3月、燃料不足が深刻化する中、割り込みをめぐって若者グループが殴り合いになった。2キロ近くに伸びた行列の中で順番が守られず、複数の若者が言い争いになり、その場で殴り合いに発展した。市民が間に入り事態を収めたが、燃料不足が人々の神経を逆なでしている状況が浮き彫りになった。
チェンマイでは2026年3月中旬以降、ガソリンスタンドで3万リットルのディーゼルが数時間で完売するケースが連日報告された。スタンドによっては開店前から携行缶持参の住民が並び、警察が整理にあたる光景が各地で見られた。サンカムペーン地区では別のスタンドが在庫切れのために閉鎖し、オーナーが「昨日から数百台を対応し、午後3時から翌朝まで3万リットルを完売した。次のタンクローリーが来るまで休業する」と述べた。
燃料不足の根本原因は中東情勢による供給ルートの不安定化と、投機的な買い占めが重なったことだ。タイ政府は買い占めを禁止する緊急命令を発令し、ISOCおよび警察に取り締まりを強化するよう指示した。
若者グループによる暴力事件は、燃料不足が引き起こした「社会的ストレス」の発露でもある。長時間の待機・燃料が手に入るかわからない不安・割り込みという「不公平感」が組み合わさると、怒りの閾値が下がる。タイではこうした「生活ストレス由来の突発的暴力」は繰り返し報告されており、社会安定の観点からも燃料危機の早期収拾が求められた。
日本では石油備蓄・精製・流通体制が整備されており、東日本大震災のような大規模災害時を除けばガソリンスタンドに長蛇の列ができる事態は起きにくい。タイはこの危機をきっかけに、国家エネルギー備蓄の拡充と緊急時のサプライチェーン強化を急ぐ必要に迫られた。