米国務省が2026年3月22日、全世界の米国市民に対して注意レベル引き上げを勧告する安全アラートを発令した。米国・イスラエルとイランとの軍事的対立の激化が直接の理由で、タイに滞在・旅行中の米国人も対象となる。
発令の背景
米国務省のアラートは主に中東諸国の米国人を念頭に置いたものだが、「世界規模のアラート(Worldwide Caution)」として全地域に適用される。イランとイスラエルの武力衝突が本格化していた時期に発令されたもので、米国の軍事関与が強まることで各地でテロ報復のリスクが高まるという判断だ。
在タイ米国大使館もFacebookなどで同アラートを即座に転載し、在タイ米国人に対して「Safe Traveler Enrollment Program(STEP)」への登録を改めて呼びかけた。STEPは在外米国人が大使館に連絡先を登録するシステムで、緊急事態の際に通知を受け取れる。
タイにおけるリスク評価
タイは一般的に「Level 1(通常の注意)」または「Level 2(十分な注意)」の安全度評価を米国務省から受けている国で、中東諸国と比べれば直接的な紛争リスクは低い。ただし深南部3県(ナラティワート、ヤラー、パッタニー)は分離独立派による武装活動が続いており、Level 2の扱いが続いている。
今回のアラートはこれとは別に、テロ組織による報復攻撃が世界各地の観光地や公共施設を標的にするリスクがあるとして発令されたものだ。バンコクのような国際都市も含めて、人が多く集まる場所では注意が必要だとしている。
他国大使館の動向
英国・オーストラリア・カナダなどの大使館も同様の注意喚起を自国民に向けて発令した。各大使館はソーシャルメディアを通じてリアルタイムで情報を更新し、「最寄りの大使館または領事館と連絡を取り合うこと」「人混みや観光名所でのセキュリティ意識を高めること」などを推奨している。
在タイ日本国大使館も「外務省海外安全情報」を通じて、世界情勢の変化に応じた安全情報を定期的に発信している。タイ在住の日本人がいざというときに利用できるのが「在留届(ORRネット)」で、緊急連絡や安否確認に活用される。
旅行者・在住者の心構え
タイに住む外国人にとって、こうした広域アラートへの対応は「過剰反応しない」と「備えを怠らない」のバランスが難しい。現実的な対策としては、旅行保険の補償範囲を確認すること、緊急連絡先(大使館・病院・保険会社)をスマートフォンに保存すること、見知らぬ場所でのパスポート携行を習慣化することが挙げられる。
タイ観光警察のホットライン1155は、外国人旅行者が24時間利用できる英語・日本語対応の窓口だ。