タイ政府は2026年中にEU、韓国、カナダとの自由貿易協定(FTA)締結を目指し、交渉を加速させている。中東情勢の悪化で貿易環境が不安定化する中、新たなパートナーとの経済連携を急ぐ構えだ。
タイとEUのFTA交渉は2014年のクーデター以降中断していたが、民政復帰を受けて再開された。EUはタイにとって第4位の貿易相手で、FTA締結によりEU向け輸出品の関税削減が期待される。特に自動車部品、食品加工、電子機器の輸出が恩恵を受ける見込みだ。
韓国とは2024年に交渉が始まり、自動車・半導体分野での連携が焦点となっている。カナダはTPP(環太平洋パートナーシップ)のメンバーであり、タイのTPP加入交渉とも絡む。
日本はすでにタイとの間にJTEPA(日タイ経済連携協定)を2007年に締結している。日本企業のタイ進出の法的基盤となっており、約5,000社がタイに拠点を構えている。タイがEU・韓国ともFTAを結べば、日本企業にとってはタイを製造拠点として活用する際の競争環境が変わる可能性がある。
米中貿易摩擦とイラン戦争の二重リスクの中で、タイは貿易の多角化を「経済安全保障」と位置づけている。