タイのPTTステーション(タイ最大の石油会社・PTT直営スタンド)は2026年3月24日午前5時を期して、ガソリン・ガソホール全種類を1リットルあたり1バーツ値上げした。ディーゼル(B7)は0.9バーツ、プレミアムディーゼルは1.5バーツの値上げで、プレミアムディーゼルの上げ幅が最も大きい。値上げ後の主要燃料価格は、ガソリン95が42.64バーツ/L、ガソホール91が33.68バーツ/L、E85が25.79バーツ/Lなどとなった。
この値上げは中東情勢の悪化に伴う国際原油価格の急騰を受けた措置だ。WTI原油が99ドル超、ブレントが112ドル超に上昇していた時期と重なる。タイの燃料価格は基本的に国際原油価格に連動するが、エネルギー規制委員会(ERC)と石油基金が補助金・税を組み合わせて最終価格を調整している。
値上げの「明日から」という短い告知期間は、前夜に駆け込みで給油しようとする人々をガソリンスタンドに集中させる現象を引き起こした。チェンマイなど燃料不足がすでに深刻だった地域では、さらに行列が長くなる事態となった。
日本では2024年以降の価格補助の段階的廃止によってガソリン価格が徐々に上昇してきたが、タイのような短期間での大幅値上げは少ない。日本のガソリン小売価格は石油情報センターが毎週月曜に全国平均を公表しており、予測可能性が高い。タイでは価格発表のタイミングの不透明さが消費者・業者の不満を高めた。
タイ政府はこの値上げとほぼ同時期に、エネルギー補助金の維持・拡充を検討すると発表した。補助金がなければディーゼルはさらに高い価格になっていた可能性があり、農業・物流・漁業への打撃は現状以上に深刻だったと試算される。