タイ軍は6月4日、東北部ウボンラチャタニ県のチョンボックで、カンボジア軍の兵士が対戦車地雷を埋めている様子を撮影したとする動画を公開した。タイ側は、これがタイ軍の陣地近くに地雷を仕掛けた証拠だと主張し、カンボジア政府の「関与していない」という否定に真っ向から反論している。両国の国境地帯では緊張が続いており、地雷の敷設をめぐる非難の応酬が、対立をさらに深めている。
タイ側が公開した動画
タイ軍によると、動画にはカンボジア国軍の部隊が、チョンボック付近のヒル745(745高地)周辺で地雷を仕掛ける様子が写っているという。タイ側は、この部隊をカンボジア国軍第2軍管区の第21歩兵旅団だと指摘した。動画は、カンボジアが正式に関与を否定した数時間後に公開された。
タイは以前から、カンボジアが国境地帯に地雷を埋め、タイ軍の兵士が負傷していると非難してきた。実際、この地域では地雷を踏んで兵士が手足を失うなどの被害がたびたび報告されており、敷設の責任の所在は両国にとって極めて重い問題だ。今回の動画公開は、その主張を裏づけようとするものだが、映像が撮影された状況やその真偽について、第三者による検証が示されているわけではない。
カンボジアの反論
一方、カンボジア側は関与を否定している。カンボジア政府は、地雷が見つかったという情報は受け取ったとしつつ、その「出どころや種類、いつ埋められたものかは確認できない」と説明した。そのうえで、「カンボジアは緊張を生み出す活動を支持も関与もしていない」と述べ、責任を明確に否定した。
タイとカンボジアは互いに正反対の主張を続けており、どちらの言い分が正しいのかは、当事者以外には判断が難しい。証拠とされる動画が出ても、相手がその正当性を認めなければ、対立は平行線をたどるばかりだ。
深まる国境の対立
チョンボックは、両国の長年の国境対立の火種となってきた場所だ。昨年(2025年)5月にはこの一帯で武力衝突が起き、タイ軍の兵士26人が死亡し、数十万人の住民が避難する事態となった。
対立は国境だけにとどまらない。カンボジアは陸の国境問題を国際司法裁判所(ICJ)に持ち込み、タイは海の境界に関する覚書を破棄した。さらにカンボジアは、海洋をめぐる問題を国連に提起している。昨年の衝突のあとは表向き戦闘は収まっているものの、国境画定をめぐる根本的な対立は解決しておらず、小さな火種が再び大きな衝突につながりかねない緊張が続いている。地雷をめぐる今回の応酬も、こうした多方面での緊張の一部であり、事態の沈静化はなお見通せない。