タイで5月16日に起きたマッカサン列車衝突事故(死者8人)からわずか数日後の5月21日早朝、児童送迎用のスクールバン(ロットゥー)が踏切のバーを突破しようとして線路上で立ち往生する一幕があり、SNSに動画が上がって批判が広がっている。踏切番がとっさに走り出して列車運転士に警告し、運転士も遠くから危険を察知してブレーキを踏み込んだ結果、衝突は寸前のところで回避された。タイ紙Khaosodが伝えた。
動画はFacebookユーザーのスラシエン・プラップラスワン氏が投稿したもの。早朝の踏切で、遮断機がすでに下りているなか、スクールバンが強行突破を試みた。途中で停止してしまい、運転手はそのまま動かなくなる。一方で線路の向こうからは列車が近づいてくる。踏切番が線路上の車両を見るやいなや走り出し、必死に手を振って列車運転士に警告。住民や周囲の関係者も叫び声を上げて退避を促したが、スクールバンは依然動かない。最後は列車運転士が遠くから察知してブレーキを踏み込み、ぎりぎりのところで停止して全員が無事に済んだ。
「ヒヤリハット」というレベルを超える数十秒で、踏切番は文字通り命懸けで線路の上に飛び出した形だ。動画拡散後、SNSでは「児童を乗せた車両でこの判断はあり得ない」「踏切番のほうがよほど命を懸けている」と、運転手への批判と踏切番への称賛が同時に広がっている。
引っかかるのは、5月16日のマッカサン事故と構図がほとんど同じことだ。あちらはバスが踏切上で動かなくなって列車と正面衝突し、死者8人を出した。今回は奇跡的に止まれただけで、同じ場面がわずか1週間のうちに繰り返されている。タイ国鉄(SRT)の踏切番にとって「現場に走り出して命を懸ける」のが日常になりつつある、という構図が透けて見える。
マッカサン事故を受けて、警察庁長官キッタラット氏は5月26日に全国警察分署長会議を開いて踏切取締強化を打ち出す方針を示している。ただ、現場の運転手の判断が追いついていないこの動画を見ると、設備・運用・教育の3面で同時に手を入れない限り、似たような場面は何度でも起きるのだろう。




