日本のファストリテイリング傘下のUNIQLO(ユニクロ)が、タイ事業15周年に合わせて74店舗目を開店する計画を5月18日に発表した。2011年9月のバンコク・セントラルワールド店オープンから始まったタイUNIQLO事業は、15年で53店舗の純増(年平均約4-5店舗)を実現。エアリズム・ヒートテック・UTグラフィックTシャツなどの「LifeWear」コンセプトがタイ市場でも支持され、バンコク中心部・郊外・地方都市まで広範な店舗網を構築した。在タイ日本人駐在員家庭にとっても、日本と同じ品質の機能性衣料が現地価格で買える便利な存在だ。15周年を記念して、年間通じて各種キャンペーンを実施する。
UNIQLOタイ15年の歩み
UNIQLOタイ事業の主要マイルストーンは次の通り。
第1に、2011年9月: タイ初店舗をバンコク・セントラルワールド店としてオープン。当時は同地のZARAやH&Mと並んで「グローバル・ファッション3強」の一角と注目された。
第2に、2013-2015年: バンコク主要モール(セントラル・チットロム、エンポリアム、エムクオーティエ、サイアム・パラゴン等)に出店拡大。
第3に、2016-2018年: バンコク郊外と地方都市(チェンマイ、プーケット、パタヤ、コラート、ウドンタニ等)に進出開始。
第4に、2019年: タイ国内初の旗艦店「セントラルワールド・グローバル旗艦店」を全面改装、3階建ての大規模店舗としてリニューアル。
第5に、2021年: 10周年時点で54店舗を達成。
第6に、2024-2025年: コミュニティモール・サテライト型店舗の開発。バンコクのオフィスビル内・郊外住宅地区への小型店舗展開。
第7に、2026年5月: 15周年達成、74店舗目開店予定(本記事)。
15年で54→74店舗への拡大は、コロナ禍の影響を受けながらも安定した出店ペースを維持した結果。
タイ市場の特徴—UNIQLO人気アイテム
タイの暑い気候(年間平均30度以上)と冷房の強いオフィス・コンドミニアム・モールの組み合わせは、UNIQLOの機能性衣料に最適な市場となっている。
タイ市場で特に人気の高いアイテムは次の通り。
第1に、エアリズム(AIRism)。タイの高温多湿に対応する吸湿速乾・接触冷感素材。Tシャツ・下着・タンクトップが特に人気。
第2に、ヒートテック(HEATTECH)。意外にもタイで人気。理由は、(a)冷房の効いたオフィス・モールでの保温、(b)雨季の冷気対策、(c)冬季の北部チェンマイ・チェンライ等の朝晩の冷え込み対策。
第3に、Ultra Light Down(Ultra Light Down)。北部山岳地帯への旅行、欧州・日本への出張・旅行で需要。
第4に、UT(UNIQLO T-Shirt)グラフィックTシャツ。マンガ・アニメ・キャラクターコラボがタイ若者層に人気。
第5に、ステンカラー・カーディガン・ジャケット。タイ駐在員ビジネスマンの定番。
競合状況—H&M・ZARA・GUとの位置付け
タイのファストファッション市場でのUNIQLOの位置付けは次の通り。
第1に、グローバルファストファッション3強: ZARA(スペイン系)、H&M(スウェーデン系)、UNIQLO(日本系)。タイではこの3社が大手モールに必ず入っている。
第2に、価格帯: UNIQLOは中位帯。ZARAより若干安く、H&Mと同等、しかしGU(ユニクロ姉妹ブランド)よりは高い。
第3に、ファッション性: ZARA・H&Mが流行追随型、UNIQLOは「定番・機能性」型。
第4に、ターゲット層: UNIQLOは「全年齢・男女・家族向け」が強み。ZARA・H&Mは若年層・女性層が中心。
第5に、GU(ジーユー)の進出: 2018年に同じくファストリテイリング傘下のGUがタイ進出。低価格帯のUNIQLOとして、若年層・学生層を取り込んでいる。
関連背景
タイ駐在の日本人にとって、UNIQLOは特に便利な存在だ。
第1に、日本と同じ品質。日本国内と同じデザイン・素材・サイズで購入可能。日本帰国時にまとめ買いする必要がない。
第2に、価格はやや高め。日本の1.2-1.5倍程度の価格帯。ただし日本からの輸送費・関税を考えると現地購入が経済的。
第3に、サイズ展開: タイ人体型に合わせた展開(日本でいうXS-XXLが、タイではS-XLが中心)。日本人駐在員の標準体型ならM-Lサイズが豊富。
第4に、子供服: タイ駐在員家庭にとっては最も助かるカテゴリ。日本の幼稚園・小学校で人気のキャラクターコラボTシャツ・パジャマがタイでも入手可能。
第5に、シーズン商品: ヒートテック・Ultra Light Downも入手可能。日本帰国時の準備として便利。
ファッション以外の拡張—UNIQLO Cafe・Coffeeなど
タイUNIQLOは、(a)旗艦店併設のカフェ(UNIQLO Coffee)、(b)コミュニティイベント(DIYワークショップ・ヨガクラス等)、(c)コラボキャンペーン(タイ人デザイナーUTコレクション)、なども展開している。
15周年記念キャンペーンの予定は、(i)15年間の歩み展示、(ii)記念限定UTコレクション、(iii)カードホルダー会員特典、(iv)タイ人デザイナーコラボ、など年間通じての企画。
ファーストリテイリング全体のタイ戦略
UNIQLOタイの拡大は、親会社ファーストリテイリングのアジア戦略の一環。
ファーストリテイリングは、(a)日本国内市場の成熟、(b)海外市場(特にアジア)への成長機会、(c)中国・東南アジア・インドへの集中投資、を進めている。
タイは、(i)中所得層の拡大、(ii)観光客の購買需要、(iii)地理的優位性(東南アジアハブ)、(iv)安定した経済成長、で重要市場と位置付けられている。
UNIQLOタイの今後の展開予想は、(1)2030年までに100店舗達成、(2)タイ製造拠点の活用、(3)E-commerce強化(オンラインショップ・宅配サービス)、(4)他のファーストリテイリングブランド(GU・PLST等)の追加進出、と見られる。
関連背景
UNIQLOタイ15周年は、(a)在タイ日本人コミュニティの定着、(b)日系小売業のタイ市場での成功事例、(c)日本ブランドのタイでの認知度、を象徴する出来事。
74店舗目の開店は、(i)バンコク・地方都市への網羅性向上、(ii)駐在員家庭の生活利便性、(iii)タイ消費者の日本ブランドへの信頼、を意味する。