タイ警察庁が、犯罪取締と市民サービスに使うAI(人工知能)・自動化システム4種類を公開した。5月18日の第4/2569軍最高司令官会議に合わせて開かれた合同記者会見で、副監察総長兼警察庁報道官のトライロン・ピワパン警察中将が発表した。
公開されたのは次の4つだ。1つ目はLPR(License Plate Recognition)、ナンバープレートの自動読み取りシステム。監視リスト入りした車両を追跡し、違法な走り方をしている車の挙動を分析する。2つ目はAFIS(Automated Fingerprint Identification System)、指紋の自動照合システムで、Live Scanという履歴照合プロジェクトとセットで運用する。3つ目はTourist Police CCOCのMobile AI Technologyで、AIで人の顔をスキャンし、指名手配やオーバーステイのデータベースと突き合わせるパトカー型の機材だ。4つ目はSmart CRIMES、電子調書を一元管理する捜査支援システムである。
並べてみると、紙の調書から指紋、ナンバー、顔まで「警察の手作業」とされてきた領域を片っ端から自動化していく方針が透けて見える。とくにTourist Police向けの顔認証パトカーは、観光地で職質する代わりに走らせて自動的に手配人物とオーバーステイを拾う発想で、観光警察の運用感覚にはかなり馴染みそうだ。
同じ会議では軍側からも自律システム構想が一斉に出てきた。陸軍は「自律戦場(Autonomous Battlefield)」の3段階、つまり半自律(Semi-Autonomous)、人間が監督する自律(Supervised Autonomous)、完全自律(Fully Autonomous)、を提示し、無人戦闘の司令部となるUnmanned Warfare Commandの設立構想も示した。海軍はUAS(無人航空機)、USV(無人水上艦)、UUV(無人水中船)を、情報収集と哨戒、水上戦、対潜、機雷掃海、上陸作戦支援、対空、海上安保、基地防衛などに広く投入する計画。空軍はAIをデータ分析と監視、状況評価に使い、指揮統制室の能力を底上げするIntelligent Command and Control構想を出している。
軍最高司令部としても、自律システムと統合防空の部隊を、すでに置かれている「統合能力司令部(หน่วยบัญชาการขีดความสามารถร่วม)」の下にまとめる方向で検討に入っているという。会議を締めたウクリット・ブンタノン軍最高司令官は、各軍と警察庁が足並みを揃えて自律システムの開発を進めることへの謝意を述べていた。
興味深いのは、これが「将来の軍備」ではなく「すでに実装に動いている話」として一気に並べて見せられた点だ。LPRやAFISは現場運用が始まっていてもおかしくない世代の技術であり、Tourist Police向けの顔認証パトカーまで具体名で出てくるとなると、街角の景色がじわじわ変わっていく予感がある。