タイ漁業局(กรมประมง / DOF)が「赤水期2569(ฤดูน้ำแดง)」を5月16日から正式発令した。タイ全土の自然淡水域で、産卵期に入った淡水魚の捕獲を厳しく禁止する保護措置で、対象は39県+南部国境5県(パッタルン・ソンクラー・パッタニー・ナラーティワート・ヤラー)。違反者は最大5万バーツ(約23万円)の罰金が科される。雨期に入って淡水魚の産卵活動が始まるこの時期に、繁殖を保護することで生態系の回復を狙う措置だ。在タイ日本人で釣り・川魚料理を楽しむ駐在員家庭も対象となるため、規則を知っておきたい。
赤水期とは何か
「赤水期(ฤดูน้ำแดง)」は、雨期入り直後の5〜8月に淡水(川・湖・運河・ダム)の水が増水し、土砂を含んで赤茶色に濁る時期を指す。この期間は淡水魚にとって絶好の産卵環境で、母魚が卵を持ち、生まれた稚魚が成長する。漁業局はこの繁殖期を保護するため、毎年「赤水期」を指定して捕獲制限措置を取っている。
2026年(仏暦2569年)の赤水期は5月16日からスタート。期間は地域ごとに設定され、中部・北部が5月16日〜8月15日、南部は別途設定される。
対象地域—39県+南部国境5県
今年の対象地域は次のとおりだ。
中部・北部・東北部の39県(コーンケン、ナコーンラチャシマ、アユタヤ、バンコク、チャチェンサオなどを含む)。これに加え、南部国境5県(パッタルン、ソンクラー、パッタニー、ナラーティワート、ヤラー)が別ルールで対象に組み込まれる。
バンコク都内の運河、ナコーンパトム、サムットプラカーンの淡水域も対象。在タイ日本人駐在員が住む首都圏でも、生活圏内の運河・池での釣りに規制がかかる。
何が禁止されるのか
赤水期に禁止されるのは、自然淡水域での産卵期淡水魚の捕獲全般だ。具体的には次のような行為が制限される。
業者・個人を問わず、母魚や稚魚を含む淡水魚を網・罠・電気漁具・毒物・爆発物などで大量捕獲することは厳禁。ただし、一般的な釣り竿(禁止種別を除く)、伝統的なネット・スクープネット(口の幅2メートル以下)での個人用釣りは認められる。
つまり、「個人の趣味としての釣り竿釣り」は基本的にOKだが、「商業目的・違法漁具」は禁止という運用となる。
罰則—最大5万バーツ罰金
違反者には1959年漁業法に基づく処罰が科される。最大5万バーツ(約23万円)の罰金が科される他、悪質な違反には懲役刑が併用されるケースもある。違法漁具・漁獲物は没収となる。
タイ駐在員や旅行者が観光地で「珍しい川魚料理」や「養殖場体験」に参加する場合、漁獲が許可された養殖場や指定された場所で行われるか確認する習慣が大切だ。違反現場に同行していた場合、外国人も摘発対象になる可能性がある。
関連背景
タイには釣りを趣味とする日本人駐在員も多い。バンコク郊外のダム湖、東部のリゾート湖、北部のメーピン川などは人気のスポットだ。赤水期中の注意点は次のとおり。
第1に、「個人の趣味としての釣り竿釣り」は基本OKだが、自分が釣れる魚種・大きさ・本数に制限がかかる場合があるので地元の漁業事務所で確認する。第2に、ガイド付きの釣りツアーやフィッシングパークでは、許可があるかどうかをガイドに確認。第3に、釣った魚を持ち帰る前に、地元の漁業局事務所(県内に必ずある)に問い合わせ。第4に、川魚料理を扱う飲食店で「養殖魚」か「自然魚」かを確認するのが望ましい。
タイの生態系保護政策は近年厳しさを増しており、雨期入りに合わせた一斉発令は毎年5月16日に定例化している。8月15日まではルール遵守が求められる。