タイ国家水資源庁(ONWR / สทนช.)が2026年5月14日時点のデータを公表し、全国の使用可能水量が22,061百万m³(全水量46,169百万m³の39%)にとどまっていることを明らかにした。地域別では中部32%、東部36%が危機水準で、西部66%・南部61%との格差が顕著だ。雨期は5月15日に正式入りしたばかりだが、シーズン全体の降水量予測が平年比10%減という見通しで、農業・工業・生活用水の供給リスクが残る。在タイ日本人の駐在員家庭にとっても、水道の安定供給や食料品価格への波及を意識すべきタイミングだ。
全国の使用可能水22,061百万m³、平年より低い水準
国家水資源庁(ONWR)の5月14日時点データによると、タイ全国のダム・貯水池に蓄えられている総水量は46,169百万m³。このうち実際に使える「使用可能水量」は22,061百万m³で、全体の39%にとどまる。雨期入りした5月15日の前日時点としては低めの水準で、シーズン序盤の追加流入と8〜9月のピーク雨量に頼る形になる。前年同期比でも下回っており、ONWRは「シーズンを通じて慎重な水管理が必要」と警告している。
中部32%・東部36%、生活と農業に直結する地域が危機水準
地域別の使用可能水率は格差が大きい。最も低いのは中部で32%、次いで東部36%。両地域はバンコク・チョンブリ・ラヨーンなど人口・産業の集中地で、生活水・農業水・工業冷却水の需要が全国でもトップ層だ。西部66%・南部61%と比べると、2倍近い差がついている。中部のチャオプラヤ流域に依存するバンコク水道局(MWA)の安定供給にも影響しうる水準で、東部経済回廊(EEC)の工業団地でも水コスト上昇リスクが懸念される。
5/15〜18の豪雨と5/17〜21の潮位上昇、二重の警戒
ONWRはあわせて気象警報も発出している。5月15日から18日にかけて全国で豪雨が予想され、特に山岳エリアの突発性洪水(フラッシュフラッド)と土砂流に警戒が必要。続いて5月17日から21日にかけて潮位上昇(タイ湾の干満差拡大)が予測されており、河口部・低地での冠水・海水逆流のリスクがある。直近24時間で最も多く降ったのはパンガー県の154mm、チェンライ県の96mmと続く。豪雨と潮位上昇が同時並行で発生すると、ダム流入は増えるが下流氾濫リスクも増えるという両刃の状況だ。
駐在員家庭への含意
バンコク・チョンブリ・ラヨーンに住む駐在員家庭にとって、水資源の状況は2つの方向で生活に響く。第1に、雨期入り直後の貯水量が低い状態が長引くと、乾季にあたる10月以降に水道の節水要請・段階的給水制限が発生するリスクが残る。第2に、農業用水不足は野菜・米・果物の価格上昇を通じて食卓に影響する。ONWRが公表するダム別の貯水率は毎週更新されているので、雨期序盤の流入ペースを追っておく価値はある。雨期入りしたからといって油断せず、シーズン全体を通じてダム・水資源庁のアラートを確認するのが現実的だ。