クルンタイ銀行(KTB)の市場戦略部門が13日付のレポートで、バーツに双方向リスク(Two-Way Risk)が高まっていると警告した。中東情勢の不透明さに加え、14日から北京で始まるトランプ大統領と習近平国家主席のサミットが直前に控え、短期のバーツは32.25-32.50バーツ/ドルのレンジで激しく揺れると見ている。在タイ日本人にとっては、生活費や日本への送金が円換算で動く一週間になる。
32.25-32.50バーツ/ドル、弱含めば32.85も視野
KTB Global Marketsの市場戦略責任者ナイ・プーンパット氏が示した短期予想レンジは32.25-32.50バーツ/ドル。さらに下に振れる場合は32.75-32.85バーツ/ドルをテストする可能性も挙げた。逆にバーツ高方向では、週足ベースで32バーツの節目を明確に突破するまではバーツ安基調の見方を変えないとしている。
5月13日午前のバンコク市場でのクロスレートを当てはめると、1バーツはおよそ4.86円。仮にバーツが32.50バーツ/ドルまで弱含むと、ドル円換算で157円台に乗る水準となり、日本円の貯蓄からタイ生活費を補填している層には重くのしかかる。
トランプ習近平サミットと中東情勢
5月14-15日に北京で開かれる米中首脳会談は、3月の米国とイスラエルによる対イラン空爆を受けていったん延期されていた。今回トランプ大統領は、ホルムズ海峡の航行再開を含むイランとの停戦交渉で中国側の協力を引き出したい狙いとされる。会談後に中東が再び緊迫すれば、原油高と地政学リスクで新興国通貨が売られやすく、バーツも巻き込まれる。逆に米中で関税緩和や枠組み合意が出れば、ドル安・新興国通貨高でバーツが32バーツを突破する展開もあり得る。
業者向けにはオプション戦略を推奨、CPI通過で焦点は米中と中東に
KTBは輸出入企業に対し、為替先物よりもオプションを使ったヘッジを推奨している。レンジが両サイドに大きく振れる局面では、上限・下限を限定できるオプションのほうが片張りのリスクを抑えやすい、というのが理由だ。米国の消費者物価指数(CPI)はすでに通過しており、次の大きな市場イベントは米中サミットと中東情勢に絞られている。
在タイ日本人の生活費・送金への影響
駐在で現地給与をバーツ受け取りにしている層は、バーツ安・円高方向に振れると手取りの目減りを意識する局面になる。逆にバーツ高・円安方向では、日本円口座から仕送りを受けている層やタイから日本への一時帰国組に逆風だ。コンドミニアム家賃がドル建て契約の場合は、ドル/バーツの動きがそのまま月額請求に乗る。サミット前後で大きく振れる可能性が高い以上、週末の両替・送金は会談の結果を見てから組むほうが安全だ。