タイの空港運営最大手AOT(Airports of Thailand、タイ空港公団)が10年間のマスタープランを発表し、2034年までに乗客年間1.8億人を受け入れる能力を目指すと明らかにした。ピパット運輸相が示した「Quick-Win」政策に呼応する形で、反ドローン・鳥衝突防止システムの導入、地上事業者の拡充、主要空港の拡張プロジェクトの内閣提出を急ピッチで進める。
ピパット運輸相は5月6日にAOT本社を視察し、空輸を世界級航空ハブに引き上げるための「Quick-Win(短期成果)」3項目を指示した。第一は航空安全に直結する反ドローン(Anti-Drone)システムと鳥衝突(Bird Strike)防止システムの設置である。タイの主要空港周辺ではドローンの違法飛行と鳥との接触事故がいずれも増加傾向にあり、技術的な対策の早期導入が急務となっている。
第二は地上業務(グランドハンドリング)分野での事業者追加である。これまで限定的な事業者構成だった地上業務に第2の事業者を入れることで、サービス品質と価格競争を両立させ、航空会社の運用効率を高める狙いがある。第三が、スワンナプーム空港、ドンムアン空港、チェンマイ空港、プーケット空港の4大主要空港の拡張プロジェクトを早期に閣議承認まで進めることである。
AOT側は10年マスタープランで2034年(仏暦2577年)時点の旅客数受入能力を年間1.8億人と設定した。タイ国内の航空需要は観光客回復と中間層の伸びを背景に増加が続いており、現状のキャパシティでは中長期的に対応できないとの判断がある。受入容量を拡大することで、国際ハブ空港としての地位を維持・強化する狙いだ。
加えてAOTは新空港候補地の研究も並行して進める方針を打ち出した。アンダマン地域(プーケット周辺の南部西海岸)とランナー地域(チェンマイ周辺の北部)の双方で新空港の建設可能性を検討する。観光地への直接的な航空アクセスを増やすことで、タイ全体の観光産業を補強する構図を描いている。中央政府の交通政策と空港運営事業者の中長期計画が一体で動く格好で、空港利用者にとっては今後10年で施設の様相が大きく変わる可能性が見えてきた。