チェンライ県メーファールアン郡トードタイ町バーンパンマハン地区(第8村)のミャンマー国境付近で2026年4月29日早朝、パーマン国境警備隊と麻薬密輸団との間で銃撃戦が起きた。密輸団員2人が死亡し、現場からヤーバー(覚醒剤錠剤)240万錠が12袋に分けて押収された。
事件は深夜から未明にかけて発生した。暗闇の中での捜索は危険なため、国境警備隊は夜明けまで待機してから現場に進入した。夜が明けた時点で山中に分け入り、密輸団員2人の遺体と12袋に小分けされたヤーバーを確認した。捜査チームは薬物、遺体、現場周辺の証拠を回収し、密輸団の所属組織と国籍の特定を進めている。
メーファールアン郡のタイ・ミャンマー国境地帯は近年、国境警備隊と麻薬密輸団の銃撃戦が繰り返される高リスク地域として知られている。ミャンマー側の北部シャン州やカレン州は「黄金の三角地帯」に隣接し、世界有数の麻薬生産地帯の一部を形成している。タイ国内への流入ルートとして北部国境は長年にわたり問題となってきた。
240万錠というヤーバーの押収量は単発の摘発としては大規模だ。ヤーバー1錠はタイ国内の末端市場で50から100バーツ程度で取引されるとされており、240万錠の市場価格は1億2,000万から2億4,000万バーツ(約5億から10億円)規模に相当する計算だ。これだけの量を一度に密輸しようとしていたことは、組織的かつ大規模な供給ネットワークの存在を示唆している。
タイ政府は北部国境地帯での麻薬取り締まり強化を継続しているが、ミャンマー国内の政情不安と武装勢力の動向が複雑に絡み合い、完全な遮断は困難な状況が続いている。タイ軍・警察・国境警備隊の合同オペレーションと周辺国との情報共有が対策の柱となっている。

