コンケーンの有名寺院の副住職が修行僧を率いてソンクランの粉掛け行事に加わる動画がSNSで拡散し、波紋を呼んだ。副住職は音響車で踊る女性ダンサーの近くで、若者の男性に白い粉を塗る様子が映っており、僧侶の節度を問う議論に発展した。4月20日までにコンケーン県仏教事務所が1年間の口頭叱責処分で決着させた。
Khaosodによると、事案が明るみに出たのは4月20日午前11時30分。コンケーン県内のSNSとFacebookページに、黄衣(タイの僧衣)を着た僧侶と修行僧が、観光客や男性に粉(タイソンクランの伝統的な挨拶で使う白い粉)を塗る姿の画像が投稿された。
投稿文には「コンケーンの有名寺院の副住職がチームを率いて、ソンクランの日に男性たちに粉掛け」との説明があった。現場には音響車(BGM用)があり、女性ダンサーが踊り、一般の若者と僧侶・修行僧が一緒に粉掛けに興じるカオスな光景が記録されている。
僧侶のソンクラン参加は微妙な領域にある。タイの仏教戒律では僧侶は「水・粉掛けに参加できない」わけではないが、「節度を保つ」「女性との近接を避ける」「軽薄な行為を慎む」といった一般原則がある。音響車・女性ダンサー・粉掛けの組み合わせは、その原則に抵触する可能性が指摘されている。
取材で明らかになったのは、現場が投稿で名指しされた寺院とは別の寺院である可能性だ。地元住民の証言が分かれており、「うちの寺の僧ではない」という人と「見たことがある」という人が混在する。最終的にSNSの画像と現場の粉の跡(路面と電柱)の照合で、同一通り沿いの別寺院と判明した。
コンケーン県仏教事務所のネットティップ・チャルンワイ所長が調査にあたった。会議の結果、副住職には1年間の口頭叱責処分(ว่ากล่าวตำหนิ)が下された。戒律違反ではあるが還俗まで問われない軽い処分で、再発防止と節度回復が狙いである。
本人の弁明は「暑さで前後不覚になり、参加してしまった」という趣旨である。タイの4月は体感45度を超える暑さで、屋外の伝統行事で判断を誤る事例は一般市民でも稀ではない。ただし僧侶の立場ではこの弁明で片付けられない重さがある。
タイ社会では仏教と日常生活の距離が年々変化している。SNSの発達で僧侶の日常の一コマが全国的に拡散する時代で、戒律と現代的感覚のバランスが問い続けられている。今回の処分は軽いが、議論のきっかけとして残る事例となった。