タイ警察第1管区捜査部は4月20日、Interpol(シンガポール・香港両支部)と連携し、バンコク東部カンナヤオ区セリタイ通りの貸し部屋でSIMボックス1台を押収した。32枚のSIMカードを同時に装着できる機種で、国境をまたいだ詐欺コール拠点として使われていたと見られる。
現場は集合住宅14号室1階2号の部屋で、SIMボックスに加えてルーター1台とCCTVカメラ1台が押収された。潜在指紋とDNA採取のため、パトゥムターニー第1鑑識警察が現場検証を行った。指揮を執ったのはウォラチャート・セーンカム警視正で、捜査一課の複数の副警視正が同行した。
摘発された詐欺グループは、通信キャリアの職員を装って被害者に電話をかけていた。「あなたの名義でマネーロンダリング事件が発生している」「調査のため指定口座に送金してほしい」と不安を煽り、確認という名目で資金を吸い上げる手口である。SIMボックスを経由することで、発信元を追跡しにくくする仕組みだ。
タイは2024年10月から警察庁主導で「Demolish Criminal Bridges(犯罪の橋を破壊せよ)」作戦を展開してきた。東南アジアの詐欺センターとつながる通信インフラを切断する国家的キャンペーンで、大規模なSIMボックス摘発が相次いでいる。今回の摘発もその系譜にあり、国際連携の実働が一段と強まっている。
在タイ日本人にも他人事ではない。タイ警察は最近、外国人居住者を狙った詐欺電話が増えていると警告している。「AIS」「トゥルー」など通信各社を名乗る電話で、「SIMが不正利用されている」「身分確認のためバーツを送金してほしい」と求めるパターンは、今回摘発されたSIMボックス経由の詐欺と同型の手口と見られる。
Interpolはシンガポール警察・香港警察と組み、東南アジアを拠点とする国際詐欺組織の解体に取り組んでいる。2024年には17.9百万シンガポールドル規模のマネーロンダリング組織を壊滅させた実績があり、タイを中継地点として使う詐欺団への包囲網は着実に狭まりつつある。