タイ北部の山岳観光地パーイが悲鳴をあげている。ここ2カ月の観光客数は、平時と比べて9割近くも減ったとメーホンソン県の関係者と住民がThaigerに証言した。原因は深刻なPM2.5による大気汚染である。
タイ公害管理局の金曜時点のデータでは、北部のPM2.5濃度は1立方メートルあたり63.1〜193.2マイクログラムに達していた。WHOが定める日平均基準値(15μg/m³)の4〜13倍という凄まじい数字である。
パーイは日本人旅行者にも人気の山岳リゾートで、ノスタルジックな街並み、バイクツーリング、温泉、朝市などが魅力だ。通常の4月は乾季の終盤にあたり、ソンクランを絡めた連休の旅行需要でにぎわう時期だが、今年はほぼ無人の光景が続いている。
観光客減少の直接原因は「視界の悪さ」と「健康被害への不安」である。晴れた日でも山の稜線が霞みで見えず、観光の目玉である絶景ルートが機能しない。バイクツーリングでは煙霧の中を走ることになり、喘息や目の炎症を訴える旅行者が続出した。
北部PM2.5の構造的原因は、乾季(1〜4月)に集中する森林火災と農地の野焼き、さらにミャンマー・ラオスから越境してくる煙霧である。政府は毎年対策を打ち出すが、中央平地との経済格差の影響で「農民の生活費に響く焼却禁止」を徹底しきれずにきた。
アヌティン首相は20日に閣僚チームを率いてチェンマイに入り、現地の森林火災・煙霧対策を視察する予定である。ただし4月末まで続くとみられる煙霧シーズンを乗り切るための即効性のある対策は乏しい。
在タイ日本人旅行者や駐在員にとっては、北部へ出向く日程の見直しと、どうしても訪れる場合のN95マスク・目薬・空気清浄機能付きホテルの確認が必須である。5月の雨季入りで煙霧は急速に消えるが、それまではチェンマイやパーイへの旅行は慎重に判断したい時期だ。


