サムットソンクラーム県メークロン市場で、20バーツ分のエビを妻が売ってもらえなかったことに激昂した夫が、BB弾銃と刃物2本を持って市場に押しかける事件が起きた。警察は34歳の男を逮捕し、その場で行った尿検査では覚醒剤陽性を示す紫色が出た。
現場はメークロン市場の海鮮コーナーで、4月18日の日中に騒ぎが発覚した。商いの最中の店主が、銃を持った男に突然脅されたと通報。ムアン・サムットソンクラーム署のウィーラユット・パーティー副捜査官が警ら部隊とともに駆けつけた。
警官が到着すると、容疑者のジェンナロン氏(通称ジェート、34)がホンダ・クリック(黒灰色)でその場から逃げようとしていた。警官は押し合う人混みのなかで車両を挟み込んで確保した。所持品検査で、BB弾銃1丁と刃渡り約30センチのナイフ2本が見つかった。
被害にあったエビ売りの店主によると、事件の発端はその前日の朝4時ごろにさかのぼる。容疑者の妻が店に来て、エビを20バーツ分だけ売ってほしいと言った。しかし店主はまだ当日の商いを始めたばかりで、最初の客もついていなかった。タイの露店商は朝一番の客を「プラドゥム」と呼んで縁起物として重視する習慣があり、少額客はあえて断ることが珍しくない。店主は「半キロか1キロ買ってくれたら売る」と穏やかに答え、妻はいったん帰っていったという。
後日、夫がその店を訪れた。「どうしてあのとき売らなかったのか聞きに来ただけだ」と容疑者は弁明したが、BB弾銃と刃物を見せつけて店主を脅していたとされる。周囲で買い物をしていた客からは悲鳴が上がり、市場全体が一時騒然となった。
署に連行されたあとの尿検査では、覚醒剤を示す紫色の反応が出た。20バーツのいさかいが武器による脅迫と薬物使用に膨らんだ一件である。タイの市場文化「プラドゥム」は朝の験担ぎを重んじる合理的な慣習だが、そこまで逆上するケースはまれだ。


