タイの特別捜査局(DSI)が国家経済犯罪対策委員会(กคพ.)の判断で、2026年中東情勢に起因する燃料危機を悪用して石油を横流し・不法取引したとされる船舶会社8社を対象とした特別案件捜査に着手した。調査の焦点は「海上消失した石油6000万リットル」で、スラートターニー県の石油タンク施設から証拠書類上は出荷されていながら行方がわからない石油量だ。
2026年3月以降、タイで深刻化したガソリン・ディーゼル不足の背後には、正規の流通ルートから外れた横流し・不法輸出があったという指摘が国会でも上がった。野党議員が「密輸タンカーが製油所に油を運び、高値で国民に転売している」という情報を発言し、政府に調査を求めた。
DSIが着目したのは、沖合での船舶間の石油移送(STS操作)だ。タンカーが公海上で別のタンカーに石油を積み替え、そのまま海外に持ち出す手口は追跡が難しい。法的に必要な出荷記録・税関書類との不一致が今回の捜査の糸口となった。
石油の不法横流しはタイで繰り返し摘発されている問題だ。価格差が大きい時期(国内外の価格差・補助金適用品と市場品の差)に横流しのインセンティブが高まる。特に隣国(ラオス・カンボジア・ミャンマー)との価格差が大きい場合、陸路・海路での密輸が発生しやすい。
DSIが8社を特別案件対象としたことで、経営者・役員の資産凍結・書類押収・出入国禁止などの措置が取られる可能性がある。石油・エネルギー関連の不正は国民生活への影響が甚大なことから、gkpพ.は「厳正に対処する」姿勢を明示した。タイ国民は「石油危機は人災」という見方に怒りを抱いており、政府が可視的な摘発行動を見せることが政治的にも求められた。