タイが米国の通商法第301条に基づく調査に対し、反論データをUSTR(米国通商代表部)に提出した。2026年4月15日が提出期限で、5月上旬にはタイの代表団がワシントンを訪れ、直接交渉を行う予定だ。
301条調査の概要
USTRはタイに対し、2つの問題について調査を開始した。第1は製造業での過剰生産能力(自動車・自動車部品、ゴム製品、電気機器の3分野)で、調査対象は16か国にのぼる。第2は強制労働が行われた国からの物品の輸入で、こちらは60か国が対象だ。
USTRは提出期限を4月15日と定め、各国に反論や証拠書類の提出を求めた。タイはこの期限内に必要書類をすべて提出したと、スパジー・スタムパン副首相兼商務相が明らかにした。
タイの主張
タイは過剰生産能力については「国内需要を満たすための生産であり、ダンピングではない」との立場をとる。とくに自動車産業はタイの輸出の柱のひとつで、日系メーカーを中心とした製造業の中核を担っている。2025年の自動車関連輸出額は約2兆バーツ規模で、製造業輸出全体の約15%を占める。
強制労働の問題については、タイが外国人労働者に対する法整備を進めてきたことや、人身売買対策の強化実績を証拠として提出したとみられる。
5月の直接交渉
スパジー副首相は「5月初旬にワシントンを訪問してUSTRと直接交渉する」と述べた。関税引き上げを回避するためには、米国側を納得させる具体的なデータと政策コミットメントが求められる。
タイは2024年に米国との関税摩擦を経験しており、そのときは迅速な対話で事態を収拾した経緯がある。今回も外交チャンネルを通じた解決を優先する方針だ。
タイの対米輸出依存度
タイにとって米国は最大の輸出先の一つで、輸出総額の約12%を占める。電気製品、自動車・部品、農産品などが主要品目だ。301条の発動で追加関税が課されれば、タイ製品の競争力が大幅に低下し、製造業の雇用に直接影響が及ぶ。