タイ国営石油会社PTTが、燃料危機の約1ヶ月間で2300億バーツ(約1兆1500億円)を超えるコストを自己負担していたことが明らかになった。消費者への価格転嫁は行わなかったという。
内訳はマージンコール(証拠金)約630億バーツ、運転資金の増加分約1370億バーツ、石油基金への補填約350億バーツ。中東情勢の悪化で原油価格が1バレル130ドル前後に高騰するなか、PTTは高値で原油を調達し続けながらも国内価格の安定を優先した。
直接的な短期損失は5〜10億バーツ、追加の利息負担は70億バーツを超えた。PTTはこれを「通常のビジネスで生じるコストではなく、国家エネルギー安全保障のための保険だ」と位置づけている。
一方で、燃料の買い占め倉庫が5箇所で摘発されるなど、流通段階での不正も発覚している。PTTが巨額の負担で価格を抑えていた裏で、業者が安値の燃料を備蓄し高値転売を図っていたことになる。ディーゼル補助金の段階的な削減も進むなか、燃料安定化のコストは誰が負うべきかという議論が避けられない。
石油基金にはまだ350億バーツの未払い補填が残っている。PTTの財務への影響は今後の四半期決算で本格的に表面化する見込みである。



