ランプン県コーカー郡ワット・プラタートランパングルアン境内で2026年4月16日、ソンクラーン(正月)期間中の参拝客が見守る中、「プラジャオケーオモラコット・ドンタオ」(エメラルド仏ドンタオ)の御分体(レプリカ)が安置台から落下し、3つに割れる事故が発生した。
事故は御分体の遷座儀式中に起きた。寺院委員会が本尊と御分体をそれぞれ運び出し、参拝者が近くで水をかけたり金箔を貼ったりできるよう設置しようとした際、担当者が誤って御分体を安置台に置きそこない、落下した。胴体・頭部・台座の3ピースに割れた映像が目撃者によってSNSに投稿され、タイ全国に広まった。
ランプン県文化評議会会長のアヌクン・シリパン氏は「本尊は無事。割れたのはレプリカのみ。不吉な前兆ではなく、単純な事故だ」と現場で即座に説明した。ただし事故直後は参拝者の中に動揺が広がり、「縁起が悪い」という声も出た。タイでは仏像や聖物に関わる事故を「อาเพศ(アーペート=凶兆)」と解釈する文化的感受性が強く、公式コメントによる早期鎮静化が必要とされた。
ワット・プラタートランパングルアンはランプン県を代表する歴史寺院で、13世紀以降の仏教建築が残る。プラジャオケーオモラコット・ドンタオは仏暦2000年代初頭に奉納されたとされる翡翠(または緑色石)製の仏像で、地域住民にとっての守護本尊として信仰を集める。年に一度のソンクラーン期間中には県内外から多くの参拝者が訪れる。
割れた御分体は修繕作業に入る予定で、職人による金接ぎ(金による継ぎ接ぎ)が検討されている。タイでは金接ぎを施した修繕済みの仏像もまた「物語を持つ」として再び信仰の対象となるケースがある。タイ全国で仏教寺院は4万以上あり、安置台の設置基準や遷座儀式の手順に関する統一規定はなく、今後は安全手順の見直しが求められる。