ソンクラーン水かけ祭りで全国が賑わう中、スコータイ県の山中ではラムカムヘーン国立公園とカオルアン・スコータイ消火ステーションの隊員たちが、放火犯が起こした森林火災の消火活動に追われていた。4月13日、重い消防機材を背負って山を登っていた隊員の前に、生後わずか3から4日の子ホエジカが衰弱した様子で現れた。
子鹿はおぼつかない足取りで消火隊員たちに近づいてきた。生まれて数日の幼獣が単独で人間に近づいてくるのは異常な状況であり、山火事の中で母親と離れてしまったとみられる。このまま放置すれば生存は難しい状況だった。
隊員たちは消火活動を続けながら子鹿を保護した。「ソンクラーン」という名前が付けられた子鹿は、国立公園の施設で哺育・保護を受けることになった。隊員たちが缶ミルクなどで手作りの哺育に取り組む様子がSNSに投稿されると、山火事の最前線で懸命に働きながら小さな命も救おうとした隊員たちへの称賛が集まった。
タイ北部・中部では乾季(11月から5月)に入ると農地の野焼きや不法な放火による山火事が相次ぎ、国立公園職員や地元消防が連日対応に追われる。山火事はPM2.5(微小粒子状物質)の発生源にもなっており、タイ北部の深刻な大気汚染問題と連動している。スコータイもその影響を受ける地域の一つだ。
子鹿のホエジカ(กวางรูสา)はタイ全土の森林に生息する中型の鹿だ。成体は人間を避けるが、幼獣はこうした形で人間と接触することがある。保護された「ソンクラーン」は適切なケアを経て、成長後に自然に還すことを目指して育てられている。