タイ全土に数千台の無人コーヒーマシンを展開する人気ブランド「タオビン(เต่าบิน)」の商標が、ベトナムで第三者に登録されようとしていたことが2026年4月14日に発覚した。タイ知的財産庁(DIP)の「Trademark Monitor」プログラムがベトナムでの出願を公告段階で検知し、オーナー企業のフォース・コーポレーションに通知した。
タオビンとは
タオビンはタイ語でカメ(เต่า)+スピン(บิน/飛ぶ)を組み合わせた造語で、回転するコーヒーマシンのロゴにちなむ。PTTスタンド、コンビニ、商業施設、大学キャンパスなど全国に数千台が設置されており、1杯25〜45バーツで本格的なコーヒーが飲める。タイ在住者には日常的なブランドで、バンコクの外国人コミュニティにも浸透している。
商標横取りの手口
「ブランドスクワッティング」と呼ばれる商標横取りは、人気ブランドが海外で未登録の場合に第三者が先んじて登録し、現地での使用許諾料を要求するビジネスモデルだ。ASEANでは商標登録制度が国ごとに独立しており、タイで登録済みでも各国で別途申請しないと保護されない。中国・ベトナム・インドネシアなどで特に多発している。
今回のケースはベトナムでの公告段階(登録前の反対意見受け付け期間)に発見できたため、60〜90日以内の異議申し立てで登録阻止が可能な状況だ。
タイ政府の知財保護体制
タイ知的財産庁のTrademark Monitorは、中国とASEAN各国の商標公告をシステマチックに監視し、タイブランドに酷似した出願を自動検知するプログラムだ。副首相兼商務相の指示のもと、「SMEs Plus」政策の一環として運営されており、中小企業のブランド保護を政策目標に掲げている。
今回のタオビンのケースは政府の監視プログラムが機能した成功例だ。一方で、監視網に引っかかる前に登録が完了してしまうケースや、政府に報告しない中小企業も多く、すべてのタイブランドが保護されているわけではない。
日系企業への示唆
日本企業もASEAN展開時に同様のリスクに直面する。海外での商標登録は進出前に行うことが原則で、有名ブランドほど横取りされやすい。特にフランチャイズ・ライセンス契約を組む前に現地での商標確認が不可欠だ。

