ベトナム国民議会は4月16日から6月30日まで、燃料にかかる主要3税(環境保護税・付加価値税・特別消費税)をゼロに引き下げる決議を承認した。対象はガソリン、ディーゼル、航空燃料だ。ベトナム政府は3月26日から4月15日にも同様の減税を先行実施しており、今回は期間を延長した形となる。
ベトナム工業貿易省によると、現行の付加価値税はガソリンに10%課されており、これがゼロになるだけでもリッター数バーツ相当の値引き効果がある。環境保護税や特別消費税も加えた3税をまとめてゼロにする大胆な措置は、燃料コストの大幅な削減を実現する。ベトナム政府は国際原油市場の高騰が国内経済に与える影響を最小化するために、この税収を国民に還元する形を選択した。
タイとベトナムは同じ東南アジアの主要経済国として、燃料危機への対応策が比較される立場にある。タイは石油基金という「補助金システム」を通じて価格を人為的に抑えてきたが、基金の赤字拡大で補助が限界に達し、一時的に大幅な価格上昇が生じた。一方ベトナムは「減税」という直接的かつ透明性の高いアプローチを取った。
税収ゼロという政策は当然、政府の財源を圧迫する。ベトナムが採用した「短期間の税ゼロ」は市場の混乱を最小化しながら迅速に消費者に恩恵を届けられる手法だが、財政への影響は避けられない。危機が長期化すれば追加の財政措置が必要となる点は、どの国にとっても共通の課題だ。
タイでも「燃料への税率引き下げ」という議論が起きており、ベトナムの事例は今後のタイの政策論議に影響を与えうる。