タイ海軍のトラート県海上権益保護センター(MCOT)が4月12日、タイ領海内でカンボジア船4隻を拿捕した。カンボジアへの密輸に使われていた疑いで、船内から燃料・生活必需品・水産物が押収された。
摘発の経緯
MCOT第1管区の指示を受けたトラート県海上部隊が事前情報をもとに出動した。海上国家利益保護法(2019年)に基づき、タイ領海内を無許可で航行していたカンボジア船を追跡・拿捕した。
船内にはタイから持ち出そうとしていた軽油・食料品・日用品・水産物などが積まれていた。当局はこれらを押収し、乗組員を身柄拘束して当局に引き渡した。
密輸の背景
2026年3月以降、タイでは中東情勢悪化による燃料価格の急騰が起きていた。タイ国内では政府が一定の価格統制と備蓄放出を行ってきたが、周辺国では燃料価格がさらに高く、タイから密輸して差益を得ようとする動きが表れた。
カンボジアでも燃料不足が深刻で、タイのガソリン・軽油の密輸需要が高まっていたとみられる。密輸の摘発件数はソンクラン前後に増加傾向が見られた。
タイ・カンボジア海上国境の緊張
トラート県はカンボジアに隣接する海上国境地帯だ。カイ島(コー・カン島)をめぐる領有権問題が過去から続いており、海上の取り締まりには外交的な側面も伴う。
両国は2022年に海上境界線の合意を目指した交渉を再開したが、具体的な結論は出ていない。密輸の摘発は法執行として正当だが、二国間関係に摩擦をもたらす可能性もある。
海上での日本との比較
海上の密輸取り締まりはタイ海軍と警察の共同任務だ。タイ海軍は外洋での哨戒に対応するが、沿岸・近海の取り締まりはMCOTが担う。日本の海上保安庁に相当する組織的な機能を果たしている。タイの海上国境は総延長2,600キロ以上と長く、全域を監視することは困難だ。