チョンブリー県バーンラムン郡ポン地区のソイ・フアイヤイ・ムック(ムー6)にある宿泊施設で2026年4月11日午前6時6分、火災が発生した。79歳のスイス国籍男性(名前非公表)が煙にまかれて死亡した。男性は持病があり、自力での避難が困難な状態だった。出火原因として警察はたばこの不始末が最有力と見ている。
現場はパタヤ市街から近い通称「ポン地区」の賃貸物件で、外国人高齢者の長期滞在者が多いことで知られるエリアだ。低家賃・温暖な気候・医療費の安さからタイには欧州系高齢者の長期居住者が多く、こうした施設の安全管理が改めて問われる事態となった。
発火から消防車が到着して鎮火するまでの経緯は公表されていないが、古い木造または半木造の低価格宿泊施設では防火設備が不十分なケースもある。タイの建築基準法(Building Control Act)では3階建て以上の宿泊施設に自動火災警報設備・スプリンクラー・避難経路の表示が義務付けられているが、小規模施設での遵守状況は均一ではない。
タイ観光・スポーツ省によると、外国人長期滞在者(90日以上)の数は年々増加しており、特に欧州・オーストラリア・日本からの退職者が多い。こうした長期滞在者の多くは医療費が安く物価が低いタイに安心感を持って暮らしているが、緊急時の言語バリアや自力避難の困難さは依然として課題だ。
タイには外国人向けの緊急対応機関として「観光警察」があり、チョンブリー・パタヤ地区は観光客・長期居住者の多いエリアだけに比較的対応が充実している。しかし今回のような深夜・早朝の火災対応に特化した仕組みは整っていない。日本のような消防署による定期立入検査制度の充実が求められる。