タイ北部・チェンライ県の農家宅の鶏小屋に2026年5月、野良犬3匹が侵入して飼育されていた鶏20羽を咬み殺し、もう1羽が重傷を負った事態が発生した。飼育鶏の推定被害額は5万バーツに上る。農家は「犬の飼い主が出てきて責任を取ってほしい」と怒りをあらわにした。
事件が起きたのは夜間だ。夜中に鶏小屋から異音がして農家が外に出たところ、野良犬3匹が鶏に食らいついていた。犬を追い払ったが既に鶏20羽が死亡しており、無残な現場が残された。農家が撮影した動画はSNSで拡散し、「野良犬問題の深刻さ」として広く共有された。
タイには推定350万頭以上の野良犬が存在すると言われており(農業省畜産局2023年推計)、農村・都市を問わず生活圏に入り込んでいる。鶏・アヒルなどの家禽を飼育している農家への野良犬の被害は日常的に発生しており、農業省への被害相談件数は年間数千件規模に達する。
野良犬が人や家畜に危害を加えた場合の法的責任は「わかっている飼い主がいれば飼い主の賠償責任」だが、本当の野良犬(所有者不明)の場合は補償の枠組みがない。タイ動物保護法(2014年)では、地方自治体に野良動物の管理義務があるとされているが、予算・人員不足から実効性が低い地域が多い。
農村部では犬除けフェンスや夜間の照明・警報装置を設置するのが現実的な防衛策だが、小規模農家では費用負担が難しい。タイ政府は不妊・去勢手術の普及とシェルター拡充を推進しているが、野良犬の絶対数削減には長期的な取り組みが必要だ。