サイバー犯罪捜査局(ปอศ.)は10日、バンコク・バンケーン区のアパート前で、偽造した医師の診断書を使い保険金をだまし取ろうとした51歳の男を逮捕した。バンコク刑事裁判所が発行した逮捕令状に基づく身柄確保で、容疑は文書偽造・偽造文書行使および保険金の詐欺的請求である。
事件の発端は2021年初頭にさかのぼる。容疑者の男は、当時タイで爆発的に売れていた新型コロナウイルス感染症の「เจอ จ่าย จบ(見つかったら即払い)」型保険に加入した。保険料はわずか599バーツ。陽性と診断されれば一律で保険金が支払われる仕組みで、多くの保険会社が巨額の損失を被ったことでも知られる商品だった。
男は同年11月、医師の診断書を偽造して保険会社に提出し、10万バーツの保険金を請求した。しかし保険会社側が書類を精査した結果、診断書が偽造であることが発覚。保険会社が被害届を提出し、捜査が進められていた。
「เจอ จ่าย จบ」保険は2021年のデルタ株・オミクロン株の大流行期に請求が殺到し、複数の保険会社が経営危機に陥った経緯がある。一方で、偽の陽性証明や診断書を使った不正請求も相次ぎ、保険業界全体の信頼を揺るがす社会問題となっていた。今回の逮捕は、数年越しの捜査がようやく実を結んだ形である。
599バーツの保険料で10万バーツをだまし取ろうとした計画は、偽造書類の発覚という皮肉な結末を迎えた。当局は同様の手口による未解決事案がまだ残っているとみて、引き続き捜査を進める方針である。