タイ社会保険事務所は2026年5月1日施行の新規定に伴い、民間歯科医院が被保険者向けの歯科診療機関として参加登録できる制度を開設した。これまで社会保険の歯科給付は原則として契約病院の歯科部門に限定されていたが、今回の改正で民間歯科医院でも使えるようになる。
新たな歯科給付の内容は拡充されており、スケーリング(歯石除去)・虫歯治療・抜歯・義歯・根管治療など6項目が対象となる。年間上限給付額は従来の900バーツから1500バーツに引き上げられた。年間1500バーツというのはバンコク近郊の民間歯科1回受診費の概ね相場程度だ。
申請はタイ社会保険局のウェブサイト(mms.sso.go.th)からオンライン手続きができ、毎日午前6時から午後10時まで受け付ける。法人・個人事業の歯科医院いずれも申請可能で、書類はデジタル提出が基本だ。必要書類には、法人登録証明書または個人の身分証明書、診療所開設許可書(ส.พ.7)、診療所営業許可(ส.พ.12)、診療所管理許可(ส.พ.19)、歯科医師免許証(全歯科医師分)などが含まれる。
タイの社会保険制度は被用者の約1100万人をカバーしており(社会保険局2025年統計)、保険料は被用者・雇用者・政府が3者で負担する。歯科給付はこれまで利便性が低く、実際に利用していない加入者が多かった。バンコクでは民間歯科医院の密度が高く、交通利便性が良い民間医院を使えるようになることで受診率の向上が期待される。
日本の公的医療保険では歯科治療のほとんどが保険適用されるが、タイでは保険制度が複数(社会保険・30バーツ医療・公務員医療)に分かれており、給付範囲も異なる。民間歯科参入によって選択肢が広がることは、在タイ就労者・在住者にとっても朗報だ。