アヌティン首相が4月9日、空軍士官学校で開かれた空軍記念日の式典に出席し、スピーチ中に涙を流す場面があった。首相は壇上で声を詰まらせながら、国家の主権と独立を守るために尽力した全軍の将兵に対し、深い感謝と敬意を述べた。
式典中、空軍司令官から耳打ちされた言葉がきっかけだったとされる。首相はその言葉によって、タイ・カンボジア間の緊張が高まった局面でも勝利を確信できたと振り返り、感極まったという。国境問題をめぐっては、タイ軍がカンボジア側の抗議に反論し現地写真を公開するなど、両国間の応酬が続いている。
首相は空軍の活動について、国防だけでなく災害救助や医療搬送といった人道的任務にも触れ、「献身と犠牲に心から感謝する」と全将兵を称えた。さらに同盟国との協力による地域の安定維持にも言及し、空軍の多面的な役割を強調した。
タイでは首相が施政方針演説でエネルギー危機と経済再建を柱に据えたばかりであり、国内経済と安全保障の両面で難しいかじ取りを迫られている。空軍式典での涙は、そうした緊張の中で指導者としての感情がにじんだ瞬間だったといえる。
空軍記念日はタイ王国空軍の創設を記念する年次行事で、毎年軍幹部や政府要人が出席する。今回の式典は、カンボジアとの国境情勢が緊迫する中で行われたこともあり、例年以上に注目を集めた。