パンガー県ヤオノーイ島付近の海中で、頭部を切断されたジュゴンの死骸が発見された。成体の雄で体長は約2.2メートル(頭部を除く)、体重は推定120キログラム。全身にフジツボが付着し、右胸部には鋭利な刃物による傷痕が確認された。さらに尾部にはロープが巻きつけられ、水中の岩に固定されていたという。
天然資源環境大臣は事態を重く受け止め、海洋沿岸資源局に対して死因の究明と犯人の特定を急ぐよう指示を出した。「死骸を数えるだけでなく、命を守る体制に転換しなければならない」と強調し、現場の監視強化も命じている。
同大臣は天然資源環境省の事務次官に対し、官民と地域コミュニティが連携した積極的な保護策の策定を指示した。具体的には、海草藻場でのパトロールチームの設置、ドローンや市民参加型の観測システムを活用したジュゴンの追跡、さらには新たな保護区の指定も検討するとしている。
このほか、海洋動物の緊急救助チームの編成も計画に含まれている。漂着や負傷した海洋生物を迅速に保護できる態勢を整え、今後同様の事件が繰り返されることを防ぐ狙いである。
タイではジュゴンは国の保護動物に指定されており、捕獲や殺傷は厳しく禁じられている。今回の事件は意図的な殺害の可能性が高く、捜査の行方に注目が集まる。タイ国内では近年、黒ヒョウの子を「黒猫」と偽装した密輸組織の摘発や野生ガウルの交通事故死など、希少動物をめぐる事件が相次いでおり、野生生物保護の実効性が改めて問われている。
