タイ南部ソンクラー県ハートヤイ郡で、親族や知人から合計5台のバイクを借りたまま質屋に持ち込んでいた39歳の女が、首都圏犯罪捜査局(กองปราบ)の追跡を受けて逮捕された。
女の手口はシンプルながら組織的だった。「ちょっとバイクを使わせてほしい」と親族や知人に声をかけ、信頼関係を利用して次々と車両を借り受け、それを質屋に持ち込んで現金化した。得た現金はすべて闇金融(非正規の高利貸し)への返済に充てていたという。1台ずつ確実に現金化し、5台に達するまで繰り返した。
取り調べで女は「闇金の返済に追われ、仕方なくやった。人に迷惑をかけることは分かっていた」と述べた。闇金融の金利は法外に高く、一度借りると雪だるま式に増える返済額に追い詰められるケースは珍しくない。タイでは「ノンバンク系非正規貸金業」が社会の底辺層に深く根を張っており、貧困層が返済不能に陥ると窃盗・詐欺などの犯罪に走る二次的な問題が生じている。
ハートヤイはタイ南部最大の都市で、ソンクラー県の経済・商業の中心地だ。マレーシアとの国境に近く、商業・観光・農業が交差する地域だが、バイク盗難やバイクを使った窃盗は都市部でも地方でも頻繁に発生する犯罪の一つだ。バイクは主要な移動手段であり、現金化しやすい「流動資産」として犯罪に使われることがある。
女はハートヤイの賃貸住宅に潜伏していたところを捜査員に発見・逮捕された。首都圏犯罪捜査局が地方まで追跡したことは、詐欺・窃盗の広域捜査が機能している事例といえる。バイクを質入れした場合、質屋側も「持ち込まれた車両が正規の所有者のものか」を確認する義務があるが、この確認が不十分だったとすれば質屋側にも問題がある。
