タイ警察のテクノロジー犯罪捜査課(ปพ.)は、中国当局が国際手配していたオンライン賭博組織の首謀者、中国籍のペイ・ミンシーをパタヤ市内のジョムティエン14通りの住宅前で逮捕したと発表した。男はミャンマー・カレン州を拠点とする大規模オンラインカジノネットワーク「シュエコッコー(ชเวก๊กโก่)」系の組織の中心人物とされる。
捜査当局によると、この組織を通じた資金の流通総額は130億バーツ(約520億円)を超える規模に上る。中国当局が逮捕状を発行して以降、男はタイへと潜伏先を移し、観光都市パタヤで身を隠し続けていた。タイ滞在許可は既に取り消されていたにもかかわらず、不法滞在を続けていたとみられる。
シュエコッコーはミャンマー・カレン州カウカレイ郡内に位置する経済特区で、中国資本による大規模なカジノ・ホテル複合施設が建ち並ぶ地域だ。近年はオンライン詐欺・賭博・強制労働の温床として各国メディアや人権団体から批判を受け、タイ・中国・ミャンマー3か国の捜査機関が連携して摘発を進めてきた経緯がある。多くの中国人・台湾人・東南アジア出身者が騙されて働かされる被害も報告されており、国際的な問題となっている。
男は中国当局の捜査を逃れるためにパスポートを複数保有し、2国籍以上の身分を巧みに使い分けていたとされる。タイへの出入国を繰り返しながら高級コンドミニアムに居住し、逮捕されるまでほぼ通常の生活を送っていた。観光ビザやエリートビザなどのロングステイ制度が国際指名手配犯の潜伏に悪用されるケースはタイで繰り返されており、入国管理の課題として指摘されている。
今回の逮捕は中国当局との緊密な情報共有と合同捜査によるものとされ、タイ・中国の治安協力の成果として評価されている。男は中国への身柄引き渡し手続きが進む見通しだ。
タイでは首相が詐欺・オンライン犯罪対策を「国家課題」と位置づけており、外国人犯罪グループへの取り締まりが強化されている局面にある。パタヤはその地理的特性から外国人犯罪者の潜伏地となりやすく、入管当局も監視体制を増強している。