ラヨーン県バーンカーイ郡のある薬局が、SNSに「暑さで体温計が割れた」という写真を投稿したところ、思わぬ連鎖が始まった。投稿は地元グループで拡散し、県の保健当局の目に留まり、監察員が現場に出向いた結果、その薬局が医薬品販売許可証を持っていないことが発覚した。
ラヨーン県保健事務所の副所長ワンチャイ・ノンタキットパイサーン氏は自身のSNSで経緯を説明した。「薬局がそんな高温の環境で医薬品を保管していること自体が問題だ」と指摘した上で、「ソーシャルメディアで問題が自ら浮かび上がった典型例」と述べた。当局の担当者が現地を確認したところ、適切な保管条件を満たしていない医薬品の存在と、無許可営業という二重の問題が明らかになった。
タイでは医薬品の販売には保健省が発行する許可証が必要だ。処方薬は医師・薬剤師がいる店舗でのみ販売が認められており、無許可の店が偽造品や期限切れの薬を販売するリスクは消費者の健康に直結する。地方の小さな店が「薬局」を名乗りながら正規の許可なく医薬品を販売しているケースはタイ各地で存在し、当局が取り締まりを続けている問題だ。
今回の事例は「自分で証拠を公開してしまった」というまさかの展開だ。SNSへの投稿が当局の現地調査につながり、問題が明るみに出た。SNS上での口コミや写真投稿が行政機関の目に届き、監視機能を果たすという現象はタイでも増えており、「ネットの目」が食品衛生や薬局の適正管理に一定の効果を発揮している側面がある。
暑季のタイでは医薬品の保管温度管理が重要だ。一般に医薬品は25度以下での保管が推奨されており、冷所保管が必要なものも多い。エアコンのない空間で気温が35度を超えるような環境での保管は品質劣化のリスクがあり、特に解熱剤や糖尿病薬、感染症薬などの安定性が問われる。