タイ警察庁(บชก.)、関税局、麻薬取締委員会事務局(ป.ป.ส.)の3機関が合同で「アンチ・ゾンビーズ作戦」を展開し、インドから密輸されたエトミデート28キログラム、末端価格2千万バーツ超を押収した。エトミデートは本来、医療用の静脈麻酔薬だが、近年は電子たばこのリキッドに混入され「ゾンビたばこ」として闇市場に出回っている。
4月9日の合同記者会見で、警察庁のナッタサック・チャオワナーサイ副長官が捜査の経緯を明らかにした。捜査班はバンコク、ウドンターニー、ローイエット、ナコンシータマラートの4県で一斉に家宅捜索を実施し、容疑者7人を逮捕した。押収物にはプラスチック袋に小分けされた粉末状のエトミデート952グラムのほか、製造・流通に関わる証拠品が含まれている。
ゾンビたばこはバンコクを中心にナイトクラブやバーなどの娯楽施設で急速に広まっており、使用者が意識を失ったまま歩き回る「ゾンビ状態」に陥ることからこの名がついた。過剰摂取による呼吸抑制のリスクが高く、若年層の被害が深刻な社会問題となっている。タイの幼稚園では5歳児がおもちゃ型の電子たばこを同級生から購入する事案も報告されており、低年齢層への浸透も懸念される。
当局によると、密輸ネットワークはインドで製造されたエトミデートの原料粉末をタイへ持ち込み、国内で電子たばこ用リキッドに加工して販売していた。1キログラムあたりの末端価格は約70万バーツとされ、高い利益率が密売組織の資金源になっていたとみられる。
3機関は今後も連携を強化し、エトミデートの流入ルートの遮断と末端の売人の摘発を進める方針である。タイ国内ではエトミデートを含む電子たばこ製品の所持・販売は違法であり、当局は娯楽施設への立ち入り検査を強化するとしている。
