タイの幼稚園で、5歳の園児が同級生からおもちゃ型の電子タバコ(Vape)を購入していることが調査で明らかになった。元チュラロンコン大学講師のアンヤマニー・ブンスエ博士が調査データを公表し、タイ社会に衝撃を与えている。
5歳で「コレクション感覚」でVapeを購入
問題のVapeは、フルーツやチョコレート味のリキッドが入った小型ポッド型。タバコの臭いがまったくせず、カラフルなデザインでストラップに吊るして持ち歩ける。子供たちはこれをトレーディングカードやおもちゃのように「集める」感覚で手にしているという実態が浮かび上がった。
アンヤマニー博士は独立系のアカデミックで、Ejanニュースに対し「幼稚園の子供たちが友達からVapeを買っている。5歳が当事者だ」と警告した。見た目がおもちゃとほぼ区別がつかないデザインが、規制の網をすり抜けている大きな原因だと指摘している。
南部高校生の9割がVape経験
タイ健康促進財団が2025年2月から7月にかけて実施した調査では、南部の高校生の90%がVapeの使用経験があると回答した。最年少の使用者は6歳で、平均的な開始年齢は13歳。使い始めるきっかけは友人の影響が45.56%と最多で、FacebookやTikTokの広告がそれぞれ約28%を占めた。
SNSを通じた宣伝が未成年者への普及に直結している構図だ。タイでのVapeは法律で禁止されているにもかかわらず、闇市場での流通が続いている背景がある。
2014年以来の全面禁止でも流通が止まらない
タイでは2014年から電子タバコの販売・輸入・使用が法律で全面禁止されている。外国人旅行者がプーケットやバンコクでVapeを持ち込んで摘発され、罰金や拘束を受ける事例が毎年報告されている。それでも闇市場での流通は一向に止まらず、問題は幼稚園にまで達している。
日本でもVapeを含む電子タバコは二十歳未満への販売が禁止されているが、5歳が幼稚園で同級生から購入できる状況はレベルが異なる。タイの場合、禁止自体が形骸化しているのが実態だ。
教育アプローチで対抗
対策として、タイでは250人以上の教師がVape対策の研修を受けた。大阪の教育カリキュラムをモデルにした「断る力」を教えるプログラムが内務省に提案されており、2026年6月に全国的な効果測定を行う予定だ。罰則一辺倒ではなく、子供自身が危険を理解して断れるようにする教育アプローチが柱となっている。
専門家は「おもちゃと区別のつかないデザインを規制しなければ、低年齢化は止まらない」と述べており、製品デザイン規制を含む法整備の必要性を訴えている。
タイの喫煙率は成人男性で約40%で、ASEAN地域でも高い水準にある。