エクニティ副首相兼財務相が3月28日、福祉カード保持者(低所得者層)への1人100バーツの給付を3月30日の協議で決定する方針を明らかにした。中東情勢が引き起こした燃料危機による物価上昇の直撃を受けた「最も脆弱な層」への支援措置だ。
発表の背景
エクニティ副首相は「中東の紛争が1か月以上続き、エネルギー危機が世界規模で広がっている。いつ終わるか見通しが立たない」と状況を説明した。タイ政府は暫定政権としての予算制約があるなかで、低所得者への直接支援を急ぐ姿勢を見せた。
3月30日の閣議で協議・決定し、同日中に給付の詳細を発表するスケジュールだった。
福祉カードとは
タイの「国民福祉カード」(บัตรสวัสดิการแห่งรัฐ)は低所得者を対象とした給付カードだ。月収が一定水準以下のタイ国民が申請でき、食料・日用品・交通費・公共料金などへの補助金がカードを通じて支給される。カード保持者数は1,400万人以上にのぼる。
今回の100バーツ追加給付はエネルギー危機への緊急対応として設計された。100バーツは現金に換算して約450円相当で、生活費の一部補填を目的とする。
燃料危機と物価への影響
2026年3月に中東情勢の悪化を受けてタイの燃料価格が急騰した。ディーゼル1リットルが33バーツ(約150円)を超え、輸送コストの上昇が食料品・日用品の値上がりに直結した。特に低所得者は収入に占める食費・交通費の割合が高く、価格上昇の打撃が大きい。
タイの生活保護と直接給付
タイは日本のような包括的な社会保険制度が未整備だが、国民福祉カードのほか、高齢者手当・障害者手当・産後給付など各種の直接給付がある。危機時の緊急給付は比較的フレキシブルに発動できる仕組みがあり、今回もそれが活用された。