会計検査院(NACC)ビル崩壊から1年となる2026年3月28日、ジャトゥジャック区の崩壊現場では遺族93人が集まり、追悼と「責任者の処罰」を訴えた。崩壊は2025年3月28日の地震によって引き起こされ、93人が死亡、3人が行方不明となった。
1年後の現場
1年後の現場では、まだがれきや破損した壁が残されていた。遺族たちは建物内に入り、石畳や崩れた壁の前で泣き崩れる場面が相次いだ。「1年経っても忘れられない」「あの日の光景が頭から離れない」という声が聞かれた。
追悼式典では遺族と支援者が集まり、失われた命を悼む法要が営まれた。多くの遺族が「まだ心の整理がついていない」と語り、1年間の精神的な苦しみを訴えた。
責任の所在を問う声
遺族たちにとって最大の未解決問題は「誰が責任を取るのか」という点だ。ビルは国家会計検査院(NACC)の建物で、2025年3月28日の地震でいくつかの建物が崩壊した。中でも会計検査院ビルの倒壊は甚大な被害をもたらした。
建物の設計・施工上の問題、維持管理の問題、または地震対策の不備があったのかについて、遺族たちは正式な調査と責任者の特定を求め続けた。「家族が亡くなったのに、誰も罰せられていない」という憤りが声に表れていた。
タイの地震対策の課題
2025年3月28日の地震はタイを広域に揺らし、複数の建物に被害が出た。タイの多くの建物は、日本のような厳格な耐震基準が整備される前に建設されたものが多い。特に古い公共施設や商業ビルは耐震性が十分でないケースがある。
タイ政府は地震後に建物安全点検を進めたが、全国の老朽化建物を一斉に補強するには膨大なコストと時間がかかる。会計検査院ビルのケースは、官公庁の建物でさえ耐震対策が不十分だった可能性を示した。
事故調査の進捗
2026年3月28日時点で、政府や当局による正式な調査報告は公開されておらず、刑事責任を問う訴追も進んでいなかった。遺族らの弁護士はこの状況を批判し、独立調査機関による第三者調査を求めていた。
タイの官公庁が絡む大規模事故では、責任の所在をめぐる法的手続きが長引く傾向がある。被害者遺族が声を上げ続けることで社会的な注目を維持し、行政や司法を動かすことが求められる状況だった。
93人の命が失われたこの事故の教訓を、タイ社会がどのように生かすかが問われている。